2013/11/20
うおぬま会議2013全体会議にて第91代内閣総理大臣 福田康夫氏による特別講演が開催されました。
テーマは「人口減少・高齢化社会と国際化、日本企業の役割は?」
福田氏はご講演で「日本は健康大国。これには社会全体の努力、日本食文化などもあるが、医療制度も大きく貢献した。現在の国民医療費は日本はフランスの1/2、アメリカの1/3と低いが、医療レベルは高い。この国民皆保険制度は日本経済、人口が右肩上がりの50年前にできたもの。現在、日本の高齢化はヨーロッパの3倍のスピードで進んでいる。更に人口が減っていく新しい局面の中で、今の社会保障制度を全面的に見直さなければならない時期に来ている。また人口が減ってもGDPが減らないような経済を作っていかねばならない。生活の仕方で何を変えたらいいかを根本的に考えることが必要だ」という考えをお話しされました。
そして「そのためには例えば、一軒の住宅を長く使う。日本の住宅の平均寿命は30年弱。住宅は人生で一番高い買い物なのに、毎世代が購入し高いコストを払わなくてはならない。住宅の為に働いているようなもの。これに対して100年、200年持つ住宅を普及されればそのコストは無くなり、国民が豊かに暮らすことが出来る。また、住宅メンテナンス産業も盛んになるだろう」とご提言されました。
また「国際的な世論調査でも日本はきれいだと評価を得ている。水道水が飲める国はそう多くはない。これは環境に多くの企業が知恵を集中して取り組んだ成果。また、新幹線は開業以来、50年間一人の死者も出していない。航空機事故も1985年のJAL事故以来、運転ミスを除けば大きな事故も起きていない。交通事故死者数も1970年には1万6千人を超えたが、自動車メーカーや警備、道路、行政、国民が努力した結果、今現在は5千人を割っている。これらのことから、日本という国は、その気になって努力すれば、無理と思えたことを克服する力が十分ある。高齢化社会、人口減少社会を克服する健康ビジネスも成功させるだろう」と、大変勇気づけられるご講演をいただきました。
福田氏は昨年の衆議院解散後、ボアオ・アジアフォーラムの理事長、またアジア・人口開発協会の理事長にご就任され、現在もお忙しく国内外に渡り広くご活躍されています。そんな福田氏ならではの高所大所からのお話を伺うことができた大変貴重な機会となりました。